大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)1067 決定

主 文

本件公訴を棄却する。

理 由

本件公訴事実は、被告人Aはいわゆる「土砂流し」の方法によつて他から金員を

騙収しようと企て昭和二四年八日大阪市a区b町c番地先街路上において通行中の

Bに対し予め用意しておいた時計等在中の財布一個を偶然拾得したように見せかけ

てその売得金を分配しようと申し向け同人をして真実拾得した時計の売得金を分配

するものであると誤信せしめた上同人を伴い同市d区e町f丁目g番地附近に来た

とき被告人において売却のために右時計を預る間の保証の意味を以て金員を寄託す

る旨申し添えて予め用意しておいた百円紙幣を一万円宛束ねて封印したように見せ

かけた厚紙束数束をBに手交し且つかかる大金を預ける保証としてその代償金を差

出して欲しい旨申し入れ同人をして真実数万円の現金の寄託を受けたものと誤信せ

しめ因つて即時同人より現金一万九千円を騙取した外右と同様の手段方法による詐

欺、同未遂各一件の犯行にでたものである。

というのであるが、前記被告人の氏名AはCにおいて使用していた偽名であつて

本件被告人の氏名はCが真実であるところ同人が昭和二六年一月三〇日死亡したこ

とは、本件記録に綴られているA事C名義の山根弁護士宛の書面、Cに対する前科

取調書、昭和二六年五月二日刑乙発第八七一号大阪刑務所から最高検察庁公判事務

課宛の回答、同年五月二日国警本部鑑識課発信、最高検察庁宛の指紋カード調査に

関する回答、医帥D作成の死亡診断書及びCの戸籍謄本の各記載によつてこれを認

めることができる。

さすれば右被告人に対する本件公訴は棄却すべきものと認め刑訴四一四条四〇四

条三三九条一項三号に則り裁判官全員一致の意見によつて主文のとおり決定する。

昭和二六年六月八日

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最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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