大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)1989 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人矢部善夫の上告趣意について、

憲法三七条三項前段所定の弁護人を依頼する権利は被告人が自ら行使すべきもの

であつて、裁判所は被告人にこの権利を行使する機会を与え、その行使を妨げなけ

れば足るものであること、及び同項後段の規定は被告人に対し弁護人の選任を請求

し得る旨を告知する義務を裁判所に課しているものでないことは、既に当裁判所大

法廷の判例とするところである(昭和二四年(れ)第二三八号、同年一一月三〇日

大法廷判決、昭和二四年(れ)第六八七号、同年一一月二日大法廷判決参照)。本

件記録によると原審は被告人に対し控訴趣意書提出最終日を昭和二五年一〇月一四

日と定めて通知し、被告人は同年一〇月九日自ら作成した控訴趣意書を提出し、原

審は昭和二六年三月一二日弁護人奥田忠策を国選し、右国選弁護人は同日の公判期

日において異議なく被告人の控訴趣意書に基き陳述し弁論を終結していること及び

原審においては弁護人を選任し得る旨の告知をしなかつたことが判るのであるが、

原審における右手続が憲法三七条三項に違反するものでないことは前示判例に徴し

て明白であるから、論旨の第一はその理由がない。

次に論旨第二は、刑訴四〇五条所定の適法の上告理由にあたらない。また記録を

調査するも本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴四〇八条一八一条により全裁判官一致の意見により主文のとおり判決

する。

昭和二八年三月二〇日

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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