最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)3210 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人芳井俊輔の上告趣意第一点は高等裁判所の判例違反を主張するのであるが、
論旨引用の判例は裁判所又は裁判官の前で法令により作成された訴訟書類たると、
検察官や司法警察官が法令により作成した書類たると、私人の作成した書類たると
を問わず、当該書面の意義が証拠となると同時にその存在又は状態等が証拠となる
場合には、刑訴三〇七条によりこれを取調べるには朗読と展示の方式によるべきで
あるが、単にその書面の意義だけが証拠となり、その存在や状態が証拠とならない
場合には、それは証拠手続の面からは証拠物と解すべきではなく、証拠書類と解す
べきであり、従つてその取調には展示を必要としないという趣旨である。そして、
この点については当裁判所にも同趣旨の判例がある(昭和二五年(あ)第二九六二
号、同二七年五月六日第三小法廷判決、昭和二六年(あ)第一七七七号、同二七年
六月二六日第一小法廷決定参照)。しかも、本件において、原判決は以上の各判例
と全く同趣旨の判断に出たものであることは判文上極めて明かであるから、論旨は
到底採用の限りでない。
同第二点は刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
なお、記録を調べても、本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められ
ないから、同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和二八年四月三日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
- 1 -
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
- 2 -