最高裁判所第二小法廷 昭和26(あ)4540 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人菊地養之輔、同本田詮男の上告趣意第一点について。
原判決の是認した第一審判決は、被告人の自白の外、補強証拠を掲げていること
が判文上明らかであり、同判決挙示の各証拠を綜合すると同判決の事実認定を肯認
することができるから、憲法三八条三項違反の主張は前提を欠き、論旨は理由がな
い。
同第二点について。
本件公訴の当初において、仮りに被告人が不法に逮捕勾留されたとしても、それ
に対する救済は別途の手続によるべきであつて、これをもつて上告の理由とするこ
とができないことは、当裁判所の判例どするところであり(昭和二二年(れ)第三
三四号同二三年六月九日大法廷判決、集二巻七号六五八頁、昭和二三年(れ)第七
七四号同年一二月一日大法廷判決、集二巻一三号一六七九頁参照)、また、被告人
の検察官に対する供述調書は、それがかりに不法逮捕拘禁中に作成されたものであ
つても、その一事をもつて、ただちに無効と解すべきでないことも、当裁判所の判
例の示すところである(昭和二五年(れ)第一〇八五号同年九月二一日第一小法廷
判決、集四巻九号一七五一頁、昭和二六年(あ)第四六八号同二七年一一月二五日
第三小法廷判決、集六巻一〇号一二四五頁参照)。そして、被告人の検察官に対す
る自白が強制拷問によりなされたとの事実は、記録上これを認めるに足る証跡が存
しないから憲法三六条、三八条二項違反の主張は前提を欠き、採用することができ
ない。
同第三点及び第四点について。
所論は、事実誤認、訴訟法違反の主張に帰し、いずれも刑訴四〇五条の上告理由
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に当らない(なお、被告人の検察官に対する自白が強制拷問によるものと認められ
ないことは前示のとおりである。)
また記録を調べても、本件に刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和二八年七月三一日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
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