大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(れ)1073 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人伊能幹一、小林直人の上告趣意第一点について。

論旨は、原審が記録取寄に関する証拠決定を施行しなかつた違法があり、そのた

め刑法第四五条後段を適用すべきにかかわらず、その前段を適用するに至つた違法

があるというのである。

しかし原審の本件公判調書によれば、原審が取り寄せた記録を法廷に顕出したこ

との記載のないことは所論のとおりであるが、一方本件原審公判の弁論において、

吉田弁護人は、右取寄記録に記載された犯罪と本件犯行との関係について論及して

おり(八六一丁表)、また本件記録に取寄記録が添附されていることを綜合すると、

原審は所論記録取寄の証拠決定の施行、として右取寄記録を法廷に顕出したことが

うかがわれる。そして記録の取寄は、その記録を法廷に顕出するをもつて足り、必

ずしも証拠調をしなければならないものでないことは大審院の判例とするところで

あつて(大正一四年(れ)第一三七一号、同年一一月一四日第四刑事部判決、大審

院刑事判例集四巻六五七頁参照)、当裁判所も右とその見解を同じくするものであ

る。それ故、新刑訴第三〇三条のような特別の規定のある場合は別として、本件原

審の措置をもつて違法であるということはできない。また刑法四五条後段を適用す

べき場合にその前段を適用したからといつて、本件起訴事実が確定判決の前後に亘

るような場合は別として、直ちに判決に影響する違法ありということはできない。

従つて論旨は何れも理由がない。

同第二点について。

論旨は、供述記載として証拠とすべきものを供述として引用しているのは不適法

であるというのである。

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しかし原判決の趣旨は、供述記載として引用した趣旨であることは十分にこれを

うかがうことができるから、論旨は理由がない。

よつて刑訴施行法二条旧刑訴四四六条に従い、裁判官全員一致の意見によつて、

主文のとおり判決する。

検察官 平出禾関与

昭和二六年八月三一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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