大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(れ)1191 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人天野末治、桜井紀の上告趣意第一点乃至第五点について。

原判決の確定するところによれば、被告人は同判決冒頭判示のような経緯を経た

後、昭和二三年九月三日夜、名古屋機関区事務所において、同僚である機関助士四

名等と、昭和二三年政令第二〇一号反対の気運を振起させる目的を以て、一齋職場

を放棄することを協議し、右五名共謀の上、判示「諸君俺達は行く」と題する五名

連署の檄文を作成しこれを右事務所に残して同日午後九時頃近畿日本鉄道で三重県

方面に向いその職場を離脱したというのであるから、原判決が、被告人は政令二〇

一号二条一項にいわゆる争議手段として職場離脱をしたものと認めたのは正当であ

る。又同政令違反の罪が成立するためには、必ずしも業務の運営能率を阻害すると

いう具体的結果が現実に発生することを必要とするのでなく、争議手段としてなさ

れた行為が、その性質上、通常国又は地方公共団体の業務の運営能率を阻害する危

険性あるものであれば足りるのであることは当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第

六八五号、同二八年四月八日言渡大法廷判決中弁護人福田力之助の上告趣意第四点

に対する判断参照)である。そうして、本件職場放棄がこのような危険性あるもの

であることは明らかなところである。論旨はいずれも、理由はない。原判決の事実

の認定を非難する論旨は上告の適法な理由とならない。

同第六点及び第八点(第七点は存しない)について。

昭和二三年政令第二〇一号が公務員の団体交渉権、争議行為等を禁止したからと

いつて、同令は憲法二八条に違反するものといえないこと、及び右政令第二〇一号

が失効する前に同令二条一項に違反した行為については、国家公務員法の所論いわ

ゆる第一次改正法律(昭和二三年法律第二二二号)附則八条により、右政令失効後

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もなお処罰を免れないものであることも当裁判所の判例(前記大法廷判決中、弁護

人森長英三郎の上告趣意第四点及び同小沢茂の上告趣意第四点並びに同岡林辰雄の

上告趣意第七点に対する各判断参照)であるから、本件政令が憲法に反して公務員

の基本的人権を侵害し、又罪刑法定主義に反するとの論旨は採用することはできな

い。

また、記録を精査しても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八条に従い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官栗山茂の前記第六点に対する意見を除き、裁判官全員一致の意

見によるものである。

裁判官栗山茂の右意見は前記大法廷判決に記載のとおりである。

昭和二八年六月一九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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