大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(オ)552 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人中村喜一の上告理由は本判決末尾添付の別紙記載のとおりであり、こ

れに対する当裁判所の判断は次のとおりである。

上告理由第一点について。

本件記録就中訴状請求原因第二項、昭和二三年四月二六日附準備書面第二項後段

の各記載等に拠れば、被上告人が所論提供家屋買受の趣意の点につき何等の主張を

為さなかつたとはいい得ない。又、所論昭和二五年五月二六日の原審口頭弁論に於

ける被上告代理人の陳述の趣意が、所論の如き断定的否定に在るのではなかつたこ

とは同口頭弁論調書の「提供のため『特に』買受けたものではなかつた」との記載

からも容易に看取し得られる。そして右点に関する原審認定事実は右主張を逸脱す

るものとは解し難いのみならず、該事実は原判決拳示の関係証拠殊に第一審に於け

る被上告人本人訊問の結果に照し之を認定し得ないではない。論旨はすべて理由が

ない。

上告理由第二点について。

借家法一条ノ二にいわゆる正当の事由とは、賃貸借の当事者双方の利害関係その他

諸般の事情を考慮し社会通念に照して妥当と認むべき理由を謂うことは、昭和二五

年六月一六日当法廷言渡判決の示すとおりであるが、原判決認定に係る被上告人が

上告人に対し移転先の提供等家屋明渡後に於ける住居の安定の保障につき考慮を払

つた点其の他諸般の事情に徴すれば、本件賃貸借解約申入につき正当の事由ありと

為し得られ、原審の同旨の判定は相当であると解される。仮に所論の如き事実あり

とするも右判定に影響なく、従つて論旨は理由がない。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で主文のとおり

判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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