最高裁判所第二小法廷 昭和26(オ)662 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人等の負担とする。
理 由
上告代理人岩松孝雄の上告理由は別紙のとおりであるが、同第一点所論の賃借権
抛棄は相手方ある意思表示たるの性質を有しその相手方は抛棄により直接利益を受
ける者であると解される(大審院大正六年(オ)第七三五号大正七年二月二日言渡
判決、判決録二四輯二三七頁以下所載・最高裁判所昭和二六年(オ)第一二七号昭
和二八年九月八日言渡判決、参照)ところ、原審に於て「被上告人が賃貸人等に対
し賃借権抛棄の意思表示を為した」旨主張されて居たと認めるに足る事蹟は記録に
顕われて居ないのみならず、原審は此の点につき、被上告人と賃貸人との間に賃貸
借契約を解約すべき旨の合意が為されたが右解約につき茨城県知事の許可のあつた
ことを認め難いから右解約は結局其の効力を生じなかつた旨判定して居るのであり、
原判決認定に係る事実関係の下に於て右は相当と認められる。即ち原判決は所論賃
借権抛棄の事実はこれを認めなかつたのであるから、賃借権抛棄につき府県知事の
許可を要するや否やに関する原判決の判旨は畢意蛇足に属するものであつて、此の
点に関する論旨は採るを得ない。その他の論旨はすべて「最高裁判所における民事
上告事件の審判の特例に関する法律」一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法
にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
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裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 谷 村 唯 一 郎
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