大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27(あ)4531 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人豊田求の上告趣意第一点(第一点だけよりない)について。

憲法三七条三項前段所定の弁護人を依頼する権利は被告人が自ら行使すべきもの

であつて、裁判所は被告人に此権利を行使する機会を与えその行使を妨げなければ

足るものであること、又同項後段は被告人に対し弁護人の選任を請求し得る旨を告

知する義務を裁判所に課しているものでないことは、何れも当裁判所大法廷の判例

とするところである(昭和二四年(れ)第二三八号、同年一一月三〇日大法廷判決、

集三巻一一号一八五七頁。昭和二四年(れ)第六八七号、同年一一月二日大法廷判

決、集三巻一一号一七三七頁)。そして所論刑訴規則一七八条は前示憲法の条項が

裁判所にかゝる照会手続をする義務を課している結果の規定ではなく、刑訴法令独

自の規定であることも右判例の趣旨に徴して自ら明かなところである。次に所謂必

要的弁護事件の範囲を如何に定めるかは刑訴法上の問題であつて、憲法三七条に関

係のないものであることも亦当裁判所の判例の示すところである(昭和二四年(れ)

第六〇四号、同二五年二月一日大法廷判決、集四巻二号一〇一頁)。

さて、所論の点に関する本件の経過を見るに、原審における控訴趣意書提出最終

日は昭和二七年七月八日であり(記録二三二丁)、被告人が国選弁護人選任の請求

をしたのは同年七月一〇日であつて(記録二三五丁)、之に対し原審が国選弁護人

を選任したのは右より約一〇日後の公判期日当日である同年七月二一日であること

は所論のとおりである。そして右国選弁護人は右公判当日異議なく既に提出されて

あつた被告人本人作成の控訴趣意書に基き陳述して弁論を終結しているものである

ことは記録に照し明かである。

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右のような経過にある本件においては、所論憲法三七条違反の問題を生ずる余地

のないことは前示各判例に徴し明白であるから、所論違憲の主張は採用することが

できない。

被告人本人の上告趣意は、適法な上告理由とならない。

なお本件については刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて、刑訴四〇八条、一八一条により裁判官一致の意見によつて主文のとおり

判決する。

昭和二八年三月二七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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