大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和27(オ)1209 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人吉永多賀誠同徳田敬二郎同島田徳郎の上告理由第一点について。

原判決の認定した事実によれば、東京都はその交付した補償金を以て、上告人を

して建物の所有権及びその敷地の借地権を譲渡せしめ、上告人は右補償金を受領し

たことにより黙示的に借地権の譲渡をも承諾したというのであつて、その挙示する

証拠によればその事実を認めることができる。所論旧憲法違反の主張はその前提を

欠くものであつて採用できない。

上告理由第二点について。

原判決は、上告人が補償金を受取ることによつて借地権を東京都に譲渡すること

を黙示的に承諾したと判示しているのであつて、かかる借地権譲渡の合意がある以

上他に何等の行政行為を必要とするものでないから、その存在を確定せずに借地権

の移転を認定したことは固より正当であり論旨は理由がない。

上告理由第三点について。

借地権の譲渡を受けるに当り、改めて賃貸人と借地契約をして借地関係を明確に

することも、通常行われるところであるから、原判決が東京都は、上告人に本件補

償金を交付する以前に、被上告人と所論のような借地契約を結んだ事実を認定した

からといつて、原判決に所論のような違法ありとすることはできない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

- 1 -

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!