大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和28(オ)1091 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

論旨第二、第三点について。

罹災都市借地借家臨時処理法第三二条第一項により同法第二条第一項所定の敷地

優先賃借申出権を有する者は、その敷地上に存在した罹災建物の滅失当時その敷地

を建物所有の目的を以て使用して居たことを要するものではない。此のことは右第

三二条、同法第二九条、戦時罹災土地物件令第四条の解釈上洵に明かである。論旨

の引用する原判決の部分が所論の如き趣意であるとはその行文上解し得られないか

ら此の点につき原判決には所論の如き違法はない。のみならず、係争の土地の全部

又は一部が所論罹災建物の敷地であり上告人Aが前記法条に基き敷地優先賃借申出

権を有したと仮定しても、原判決は、被上告人(同代理人D)が右上告人との間に

係争の土地に関する賃貸借の合意を為した事実の存しなかつたことを特に認定して

居り、その趣意は上告人の右敷地優先賃借権の成立に関する主張を排斥する趣意を

含むものと解せられるのであつて、右に反する論旨は採用の限りでない。

論旨第四点について。

所論臨時処理法第一〇条は専ら罹災建物又は疎開建物を所有して居た借地権者に

関する規定であることが、右と同趣旨の規定である旧借家臨時処理法第七条、旧戦

時罹災土地物件令第六条を始め建物保護法第一条等と対比することにより極めて明

かであつて、此の点に関する原判示は上告人の主張排斥の説示として缺くるところ

なく原審に所論違法はない。

其の他の論旨はすべて、「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関す

る法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、

- 1 -

又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。

(なお、原審認定にかかる事実関係の下に於ては原審が被上告人の本件建物収去土

地明渡の請求をその権利の濫用ではないと判断したことは相当である。)

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!