大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和28(オ)1229 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人鍛治利一、同永松義幹の上告理由第一点について。

しかし、原判決の認定した事実によれば、上告人Aは渋谷区ab丁目c番地にア

パート二十五戸からなる木造スレート葺二階建店舖兼居宅六棟の建物を所有してお

り、そのうちには五戸の空家もあり、また事務室の一部で住居に使用できる室もあ

つて移転先に事を欠かないとして被上告人の明渡請求の正当性を認容したのである

から、かような場合にまで賃貸人に賃借人の移転先を提供する義務があるとして原

判決の正当性の判断を非難する論旨は到底採用できない。

同第二点について。

原判決は、被上告人の請求の当否を判断するに当り所論の点についても考量勘案

した上被上告人の請求の一部を認容したものであることは、その判示するところに

より明らかである、論旨は原判示に副はない独自の見解に基き原判決を非難するも

のであつて採用できない。

同第三点について。

原判決は、上告理由第一点につき説明したとおり、渋谷区内にある右上告人所有

建物に移転することの可能なることを理由として同上告人に対する請求の一部を認

容したのであり、所論世田谷区d町所在の家屋については、同上告人が殆ど本件家

屋に起居しない一の理由として説明しておるに過ぎないのであるから、論旨は畢竟

原判示を正解せざるによる主張であつて採用の限りでない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!