大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和28(オ)455 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告人本人の上告理由第一点について。

記録によれば、原審において上告人(控訴人)に対する口頭弁論期日呼出状は、

その訴訟代理人であつた弁護士長井源に対し適式に送達されていること明らかであ

るから、たとえ上告人と右訴訟代理人との間において所論のような通知の行き違い

があつたとしても、もとより所論のような訴訟代理権の授権に何等の欠陥を来すも

のではなく、従つて上告人側に右期日懈怠の責を免れるものでないことは云うまで

もない。論旨は理由がない。

同第二点について。

自白はその自白にかかる事実については訴訟上他の証拠による証明を不要とする

ものであり、その効果は該事実が真実存在したか否かによつて左右されるものでは

ないから、所論前段の主張は理由がない。

次に相手方の主張事実を争うとは、相手方主張の事実に対する陳述であることを

要するから、単に相手方の請求の棄却を求め若しくは控訴状を提出したというだけ

では主張事実を争つたものということはできないのである。記録によれば上告人(

控訴人)が原審に提出した控訴状には、控訴の趣意として被上告人(被控訴人)の

請求の棄却を求めたうえ、控訴理由として「……原審が控訴人の抗弁を認容しなか

つたのは事実認定を誤つたものである」との記載があり、一見上告人は第一審にお

いて被上告人の請求事実を争う旨の抗弁を提出し、控訴審において同抗弁を再提出

したもののように見えるのであるが、記録によると上告人は被告として第一審にお

いて合式の呼出を受けながら、その口頭弁論期日に出頭せず且つ答弁書その他準備

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書面をも提出しなかつたものであること(その結果民訴一四〇条により上告人敗訴

の判決を受けたこと)が明らかである。してみると前示「……原審が控訴人の抗弁

を認容しなかつた」云々との控訴理由の記載は、なかつた抗弁を恰かもあつた抗弁

の如く記載したに過ぎないものであることが明らかである。そうだとすると前示控

訴趣意の記載だけでは原審において上告人が被上告人の主張事実を争つたものと認

めることのできないことは前段説明のとおりであるから、原審が民訴一四〇条に従

い控訴を棄却したのはまことに相当であつて何等所論の違法はないのである。され

ば所論後段の主張も採ることができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

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