大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)2868 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録に徴すると、原判決の是認した本件第一審判決(昭和二八年一二月二五日言

渡)は、被告人が第一、昭和二八年七月上旬頃覚せい剤を不法に譲渡し、第二、同

年八月中旬頃覚せい剤を不法に譲渡し、第三、同年九月二〇日頃から同年一〇月一

日頃までの間覚せい剤を不法に所持したとの三ケの覚せい剤取締法違反の事実を認

定し、被告人を懲役四月に処し、刑法二五条一項一号に則り三年間右刑の執行を猶

予する旨言い渡したが、被告人は、これにより先同年九月二二日、前橋地方裁判所

高崎支部において、別個の覚せい剤取締法違反罪により懲役八月に処し、三年間右

刑の執行を猶予する旨の判決の言渡を受け、該判決は同年一〇月七日確定した事実

を認めることができる。そして、本件第一審判決の認定した事実中、第三の覚せい

剤不法所持の事実は、前記別件の執行猶予の判決言渡の前後に亘る包括一罪である

から、右別件の執行猶予の判決の犯罪事実と同時に審判することは、実際上不可能

であること所論のとおりである。しかし本件第一審判決の認定した犯罪は、いずれ

も前記別件の執行猶予の判決の確定前の犯行であるから、右別件の執行猶予の判決

の犯罪のいわゆる余罪であつて、互に刑法四五条後段の併合罪をなすものである。

してみれば本件犯行は、執行猶予の期間内に犯されたものではなく、刑法二五条一

項により執行猶予が言渡された罪と刑法四五条後段の併合罪(いわゆる余罪)をな

すものであるから、本件犯罪について、執行猶予を言い渡すについても、ひとしく

刑法二五条一項によるべきことは、当裁判所大法廷判決(昭和三〇年(あ)第九六

一号同三二年二月六日言渡)の示すところである。従つて右と同趣旨に出でた原判

決は正当であつて、所論引用の高等裁判所の判例は、前記大法廷判決により既に変

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更されたものであるから論旨は結局理由ないこと明らかである。仍つて刑訴四〇八

条により裁判官全員一致の意見により主文の如く判決する。

昭和三二年七月一九日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

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