大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)3868 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人宮林敏雄の上告趣意について。

第一点は判例違反をいうけれども、その実質は単なる事実誤認の主張に帰するば

かりでなく、記録を調べても、第一審判決判示第二の畳表一束(一〇枚)の授受、

同第三の饗応接待が、社交的儀礼又は慣習として許される程度のものとは認められ

ない。これを以て賄賂と認定したことは、何ら所論引用の判例と相反する判断をし

たものではない。所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

第二点は憲法三七条二項違反をいうけれども、同条項が、被告人に反対尋問の機

会を与えない証人その他の供述を録取した書類は絶対に証拠とすることは詐されな

いという意味を含むものでないことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和

二三年(れ)第八三三号同二四年五月一八日大法廷判決、集三巻六号七八九頁)、

又、証人が証言を拒んだときは、刑訴三二一条一項二号により、その検察官の面前

における供述録取書面を証拠とすることのできることも、当裁判所の判例とすると

ころである(昭和二六年(あ)第二三五七号同二七年四月九日大法廷判決、集六巻

四号五八四頁)。従つて所論違憲の主張は採用することができない。

第三点は憲法三八条一項違反をいうけれども、記録を精査しても被告人の所論供

述調書の内容たる供述が、任意性を欠くものであるとは認められない。従つて所論

違憲の主張は、その前提を欠き刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

なお本件は記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官全員一致の意見である。

昭和三一年一一月三〇日

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!