大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(あ)786 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を福岡高等裁判所に差戻す。

理 由

弁護人松井佐の上告趣意(一)は単なる法令違反同(二)は経験則違反、事実誤

認の各主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当りない。

しかし、本件記録を調べてみると、本件第一審判決は被告人の本件公訴にかゝる

犯罪事実はその証明がないとして無罪を言渡したのに対し、検事控訴の結果原審は

何等事実の取調をすることなく記録及び第一審裁判所において取り調べた証拠のみ

によつて同四〇〇条但書を適用して第一審判決を破棄して有罪の判決をしたのであ

る。しかし、かゝる場合には同条但書の規定によることを許されないことは当裁判

所の判例とするところである(昭和二六年(あ)第二四三六号同三一年七月一八日

大法廷判決参照)。従つて、原判決はこの点において破棄しなければ著しく正義に

反するものと認め刑訴四一一条一号、四一三条により全裁判官一致の意見をもつて

主文のとおり判決する。

検察官 安平政吉公判出席

昭和三二年二月二二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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