大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(オ)231 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人菅原道彦の上告理由第一点第二点同大類武雄の上告理由第一、第二に

ついて。

本件土地及び建物について、上告人Aは、昭和二三年四月被上告人の代理人と称

するDとの間に、被上告人からこれを買い受ける旨の売買契約を締結したこと、し

かるに右Dは被上告人を代理して右土地建物を上告人Aに売却する権限はなかつた

ことは、原判決の確定するところである。しかして上告人代理人は原審において、

かりにDにおいて右代理権を有しなかつたとしても、これを買い受けた上告人側に

おいて右Dの代理権を信ずべき正当の事由があつたのであるから、民法一一〇条表

見代理の規定に従つて、右売買契約は被上告人に効力を及ぼしたものであると主張

したのであるが、原判決は右主張に対し、右売買につき上告人を代理してその衝に

当つた同人の法定代理人Eにつき判示のごとき諸般の事情関係を審理認定した上、

同人は少くとも取引上必要とする注意を欠いたものであつて軽忽のそしりをまぬか

れず、結局Dの代理権を信ずべき正当の事由があつたものとすることはできないと

の判断を示したのである。しかして、右原判示の事実関係はその挙示の証拠上認定

し得るところであり、右の事実関係にもとずく原判決の判断も首肯し得るところで

あつて、既にこの点において上告人側に過失の責を免れず、民法一一〇条にいわゆ

る「正当の事由」なしとする以上、かりに表見代理に関して原判決の説示するその

他の事実上、法律上の判断に所論のごとき異論の余地ありとしても、本件につき民

法一一〇条適用の余地のないことは勿論であつて、論旨はすべて採用に値しないも

のである。

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よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。

この判決は全裁判官一致の意見による。

最高裁判所第二小法廷

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判長裁判官霜山精一は退官につき署名押印することができない。

裁判官 栗 山 茂

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