大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(オ)446 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告理由第一

原判決は、上告人A1は上告人A2の家族としてA2の賃借権に基き本件家屋に

同居し、A2の賃貸借関係を処理していたものとして、A2はA1を介しD及びE

に対して転貸をなし又はA1を通しFに対し転貸の契約をし、その後も借受人を物

色した旨を判示しているのである。A2とA1との関係に徴し右認定は相当である

から原判決には所論の違法ありということはできない。

同第二

民法六一二条二項の賃貸人の契約解除権が有効に行使されるには、解除の意思表

示当時に契約当事者の信頼関係を裏切る程度の無断転貸が存在しなければならない

と解すべきであるが、元来賃貸借関係が個人的信頼を基礎とする継続的法律関係で

あることに鑑みれば、かかる無断転貸の価値判断に当つては、単に転貸の外形に限

局されなくても個人的信頼の基礎となる賃借人に存する諸般の事情が勘案されるこ

とを妨げるものではないと解すべきである。本件において原判決が認定したところ

によれば、本件解除の意思表示当時には、上告人A2は昭和二五年七月以前からE

に対し一ヶ月一〇〇〇円の賃料を取つて二階六畳の間一室を無断転貸していた事実

が存在していただけであるけれども、昭和二五年七月当時本件家屋の賃料が一ヶ月

二五三円であつたのに、A2はDに対しA1を介して本件家屋の表の間を数年に亘

り高価な賃料(昭和二四年一一月以降一ヶ月八〇〇〇円)を取つて転貸していたこ

と、更にD立退後昭和二五年七月中頃A2はA1を通じFに対し表の間を権利金三

七万五〇〇〇円賃料一ヶ月五〇〇〇円の約定で転貸することを契約したが、権利金

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を五〇万円に増額方要求したため右契約は解消となつたこと、A2はその後も権利

金五〇万円を出す借受人を物色していたこと等の事情を併せ考えると、A2の東に

対する無断転貸は本件家屋の一少部分に過ぎないようではあるが、右行為の背信的

性質は前記の事情によつて裏付けられて信頼関係を裏切る程度の無断転貸と評価さ

れることとなり之に基いて被上告人の解除権が発生したものと解するのが相当であ

る。原判決はA2の前記連続的行為が全体として一つの背信的行為となるものとし

之に基いて被上告人の解除権が発生したように説示したのは妥当を欠くきらいがな

いではないけれども、A2に存する前記の事情は無断転貸の評価の裏付として受取

られるものであるから、原判決の判断は結局正当に帰するというべきである。され

ば右と異る前提に立つ論旨はすべて採用することができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

裁判官藤田八郎は差支につき署名押印できない。

裁判長裁判官 栗 山 茂

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