大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(オ)766 判決

主 文

原判決中Dに対する売渡計画に関する部分を破棄し、これに関する事件

を広島高等裁判所に差戻す。

その余の部分に関する上告を棄却する。

前項に関する上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告理由は別紙記載のとおりである。

上告代理人弁護士民繁福寿の上告理由第二点について。

原判決は(一)本件農地の売渡の相手方の一人であるDが農地委員Eの子である

こと、(二)本件農地の売渡計画は主として地元委員であつたEとFとの調査に基

いてたてられたものであることを認定し、さらに本件売渡計画は適法な農地委員会

の決議を経ていることを認定している。

しかし、当時の農地調整法一五条ノ二四は「委員ハ自己並ニ同居ノ親族及其ノ配

偶者ニ関スル事件ニ付議事ニ参与スルコトヲ得ズ」と規定しており、若し右委員E

が本件売渡計画の議事に参与したとすれば、右計画中その子であるDに対する部分

の議決は違法のおそれがあるといわなければならない。

原判決は上告人の本件決議が違法であるとの主張に対し、結局右売渡計画は適法

な農地委員会の決議を経ていることが認められるから不公正なものでないと認める

のが相当であると判示して上告人の主張を排斥しているのであるが、原判決の引用

する第一審判決の事実摘示を見ると、上告人はこの点に関し「売渡の相手方の一人

Dは委員Eの子であり而も右売渡計画についはEが委員会から一任せられてFと共

に前記四名に売渡すことに立案し他委員等の諒解を得て議決せられたものである」

として決議の不当と不法を主張しているのであるから原審は決議の内容が不公正又

は違法であるか否かの点だけでなく、決議の手続に違法があるかどうか等について

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も審理を尽すべきである。然るに原審は委員Eが売渡決議に参与したかどうか、参

与したとすればその決議の效力はどうであるかの点について審理を尽した形跡がな

いばかりでなく、たやすく本件売渡決議が適法に行われたものである旨の判断をし

たことは審理不尽、理由不備の違法があるといわねばならない。

よつて論旨はこの点について理由があり、原判決中Dを相手方とする売渡計画に

関する部分は破棄を免れない。

同第一点について。

論旨は、原判決が、本件売渡計画に関する農地委員会の議事録が存在しないから

といつて、そのために直ちに売渡計画が無効または違法であるとすることはできな

い旨を判示したのを非難する。

しかし、原判決も説明するように、議事録は議事に関する証明文書に過ぎず、こ

れが存在しないからといつて、それだけで直ちに議事が違法であつたと断ずること

はできないのであつて、この点に関する論旨は理由がない。

同第三点について。

論旨は、本件農地について上告人等は優先して買い受ける資格を有する旨を主張

するのであるが、所論のような事実があつたからといつて、上告人が優先して買い

受ける資格を持つものではなく、従つて、そのために、本件売渡計画を違法である

ということはできない。論旨は採用することができない。

以上説明のとおり本件上告は、Dを相手方とする売渡計画に関する部分に限り理

由があるけれども、その他の部分については理由がなく、民訴四〇七条、三九六条、

三八四条、九五条、八九を適用し裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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裁判官 池 田 克

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