大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)1714 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人三浦斧吉の上告趣意について。

所論は、原判決が検察官の控訴趣意を容れて、量刑不当として一審判決を破棄し

たのは、その第二回公判期日において取り調べた証人Aの証言に因るものであると

認められるところ、右証人尋問期日には被告人は病気のため出頭の機会を与えられ

ておらず、反対尋問の機会を与えられていないから原判決は憲法三七条二項に反す

るというのである。しかし、被告人の原審に提出した診断書は刑訴規則一八三条三

項の要件を備えない違式のものであり、しかも右A証人の供述によれば被告人の病

気は詐病を疑わしめるものが十分であるばかりでなく、弁護人三浦斧吉は右証人尋

問に立ち会い反対尋問に当つていることも記録上明らかである。かような場合には

憲法三七条二項の保障に反しないものと解すべきこと、所論引用の当裁判所大法廷

判例中、弁護人下山四郎外一名の上告趣意第一点に対する判断後半の部分(昭和二

七年二月六日判決、判例集六巻二号刑事一三六頁最終行より一三七頁参照)が判示

するところによつて明らかである。よつて違憲の論旨は理由がない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三二年一一月一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!