最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)2219 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人白井俊介の上告趣意は、要するに、被告人の本件所為に適用された昭和二
四年政令三八九号連合国占領軍財産等収受所持禁止令は、平和条約発効と共に当然
失効したもので、昭和二七年法律八一号により右政令の効力を維持することは憲法
に違反し、同年法律一三七号の規定も事後立法であつて違憲無効であり、前記政令
を限時法であるともいえないから、本件については、犯罪後刑の廃止があつた場合
に該ると解すべきであるとして原判決は憲法三一条に違反する旨主張する。しかし
所論の政令は、一面連合国占領軍の占領政策遂行の目的を達成するために制定され
たものではあるが、他面わが国の国内経済秩序維持という公共の福祉を維持するた
めにも制定されたものであるから、同政令の規定内容は憲法二九条に違反するもの
ではなく、かかる違憲でない右政令を平和条約発効と同時に失効したものと見るこ
とはできず、昭和二七年法律八一号によりその後も同政令の効力は維持されたもの
であること、従つて同年法律一三七号をもつて、一度失効した罰則を更に復活させ
て爾後において過去の行為に遡及せしめようとするいわゆる事後立法であるとする
ことはできないことは、既に当裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二
八年(あ)第三九九六号、同三五年三月一六日、大法廷判決参照)従つて右政令が
既に失効していることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠き採るを得な
い。また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三五年四月一五日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
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裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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