大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)2701 判決

主 文

原判決中被告人Aに関する部分を破棄する。

右被告人に対する本件被告事件を福岡高等裁判所宮崎支部に差し戻す。

被告人Bの本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人Bの負担とする。

理 由

被告人Aに対し職権をもつて調査するに、

本件において、第一審裁判所は被告人Aに対する本件各公訴事実、すなわち逮捕

監禁、職業安定法違反、国税徴収法違反、公正証書原本不実記載、同行使の各公訴

事実中国税徴収法違反、公正証書原本不実記載、同行使の点については、犯罪の証

明がないことに帰するとして無罪の言渡をしたのに対し、検察官は原裁判所に控訴

の申立をなし、原裁判所は右の事実はこれを認める証拠十分であるとして第一審判

決中同被告人に関する部分を破棄し、刑訴四〇〇条但書にもとづき同被告人に対し

右事実についても有罪の言渡をしたのである。

しかしながら、記録により原審における審理の経過を検討するに、原審は、右第

一審で無罪の言渡がなされた公訴事実については、みずから事実の取調を行うこと

なく、第一審判決中被告人Aに関する部分を破棄し、もつぱら第一審裁判所の取り

調べた証拠のみによつて犯罪事実の存在を確定し、有罪の判決をしたものであるこ

とが明らかである。かくのごときは、刑訴四〇〇条但書の許さないものであること

は、すでに当裁判所の判例の示しているところであるから(昭和二六年(あ)第二

四三六号、同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一一四七頁)、弁護人西

野陸奥太郎の上告趣意に対する判断をするまでもなく、原判決中同被告人に関する

部分は破棄を免れない。

被告人Bの弁護人鈴木一郎の上告趣意は、事実誤認、量刑不当の主張を出でない

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ものであつて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

よつて被告人Aに対しては刑訴四一一条、四一三条本文に従い原判決中同被告人

に関する部分を破棄し、同被告人に対する本件被告事件を福岡高等裁判所宮崎支部

に差し戻すべきものとし、被告人Bに関する本件上告は刑訴四一四条、三九六条に

よりこれを棄却し、当審における訴訟費用は同一八一条一項を適用して同被告人に

負担させるものとする。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

検察官 高橋一郎出席

昭和三三年一〇月三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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