最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)3630 決定
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人佐藤義彌の上告趣意第一点は事実誤認の主張であり、同第五点は量刑不当
の主張であつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
同第二点は、被告人が本件覚せい剤につき実力支配を有せずこれを所持しないの
に「所持」の解釈を誤まり有罪としたことは憲法三一条に違反すると主張する。し
かし、原判決はその挙示する証拠によつて、被告人は本件覚せい剤をA方に預け、
同人はさらにこれをB方に預け、右Bは被告人のためにこれを保管し、被告人もま
た本件覚せい剤がA方からB方に預けられ、同人が被告人のため保管していること
を知り、これを処分させるため家人をB方に赴かせた事実を認定しているのであり、
これらの状況においては被告人が本件覚せい剤につきなお実力支配を有し保管して
いたものと認めることができるので、被告人の所持を認めたことは正当である。さ
れば所論違憲の主張は前提を欠き採るを得ない。
同第三点は、原判決の維持した第一審判決は被告人とAとの共謀を認めないのに
被告人に共同正犯の責任を科したことは、引用の当裁判所及び大審院の判例に違反
すると主張する。しかし、第一審判決が被告人とAとの共謀を認定したことは判文
上明らかであるから、所論は判示に添わない非難で採るを得ない。
同第四点は、原判決が高等裁判所の判例と相反する判断をしたというのであるが、
所論判例は二人が共同して窃盗を実行したのに一人の窃盗と認定した場合のもので
あつて、本件は共謀の上、B方に保管した共同正犯と認定判断しているのであるか
ら、挙示の判例は適切でなく、原判決は所論判例と相反する判断をしたものではな
い。また憲法三一条違反の主張も前提を欠き採るを得ない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
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よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
昭和三三年二月一一日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 垂 水 克 己
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