大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)459 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人両名の弁護人堀切真一郎の上告趣意第一点、同弁護人鈴木義男、河野太郎

の上告趣意第三点について所論は、共犯の成立または共謀者間における選挙運動資

金等の授受に関する判例を挙げて判例違反を主張するけれども、第一審判決は被告

人Aが被告人Bと共謀して同人をして金員を各特定の選挙運動者に供与せしめた事

実を認定しているものではなく、また同判決の判示事実自体が右両名の共同正犯の

成立を示しているものとなすに足りないのであるから、所論は原判示に副わない事

実を前提として判例違反を主張するものというべきであつて、上告適法の理由とな

らない。

堀切弁護人の上告趣意第二点について

所論は、買収資金等の交付を受けた者がその金員を他に供与した場合の判例を挙

げて、判例違反を主張するけれども、原判決は、被告人Bの八回にわたる受交付金

と三三回にわたる供与金との関係については、そのいずれの受交付金をもつていず

れの供与金に使用したものか判明しないと認めているのであり、受交付罪や供与罪

は受交付または供与のなされた度毎に各一罪が成立するものであるから、所論のよ

うに数次にわたつて交付を受けた総計金額の中から供与金の全部が支弁されたとい

うような漠然たる事実関係では、犯罪の成否につき影響するところはないのである。

所論は原判示に副わない事実を前提として判例違反を主張するものに外ならないか

ら、上告適法の理由とならない。

堀切弁護人の上告趣意第三点について

所論は、被告人両名間の授受金額(合計二二五万円)の中には合法的な選挙費用

八〇余万円を含んでいるにかかわらず、これを区別しないで全部を違法な金員の授

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受と認定したことは、判例の趣旨に違反すると主張する。しかし原判決は、被告人

両名間の毎回の授受金員は選挙運動実費、報酬その他と分別することなく包括して

授受されたものと認定し、その合法的な部分を区別し得ないことを判示している。

のみならず所論引用の判例は、投票買収費並に選挙運動報酬のごときいずれも違法

な金員を包括的に供与を受けた場合に関するものであつて、本件と具体的事実関係

を異にし、本件に適切でないものといわなければならない。

堀切弁護人の上告趣意第四点、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第一点について

所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴

四〇五条の上告理由に当らない(公職選挙法二二一条一項一号の供与罪の起訴に対

し、訴因および罰条の変更手続をとらないで、同項五号の交付罪を認定しても違法

でないことについては、昭和二八年(あ)第四六一六号、同二九年五月二〇日第一

小法廷決定参照)。

鈴木、河野両弁護人の上告趣意第二点について

所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴

四〇五条の上告理由に当らない(原判決が所論指摘の各弁護人の控訴趣意に対し判

断を示していないことは、まことに所論のとおりであるが、右各控訴趣意は、原判

決が判断を明示している鈴木弁護人の控訴趣意第一点の論旨と同旨であるから、右

判断遺脱は形式上違法であるといわざるを得ないとしても、その違法は判決に影響

を及ぼさないものであることは明らかである)。

その余の上告趣意について

堀切弁護人の上告趣意第五点、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第五点は量刑不当の

主張、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第四点は事実誤認の主張であつて、いずれも

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年七月二二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

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