大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)660 判決

主 文

原判決及び第一審判決を破棄する。

本件を新宿簡易裁判所に差戻す。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人黒田彌太郎の上告趣意一について

論旨は、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。しかし職権で調査すると第一審判

決は判示事実を認定した証拠として、一、被告人の当公廷に於ける供述、二、A提

出の窃盗未遂被害届、三、被告人の司法警察員に対する供述調書、四、法務府指紋

係の索引氏名回答書を掲げているけれども、右二及び四の各証拠は第一審公判にお

いて証拠調の施行されていないことが公判調書の記載により明らかであるから、第

一審判決は被告人の自白を唯一の証拠として判示事実を認定した違法があり、同判

決及びこれを維持した原判決は刑訴四一一条一号により破棄を免れない。

よつて黒田弁護人の論旨及び被告本人の論旨に対する判断を省略し、刑訴四一三

条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官 馬場義続出席

昭和三〇年七月一日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 1 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!