大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)201 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人池内判也の上告理由第一点について。

(1) 論旨は先づ、本件契約は当時の指定生産資材であるパラフィンにつき、

当時施行の臨時物資需給調整法に基く指定生産資材割当規則所定の割当証明書によ

らないで譲渡することを内容としたものであるから、統制法規に違反した無効の契

約であるというのである。しかしこの点につき原判決の認定するところによれば、

「被控訴人(被上告人)はD(上告人の代理人であるD)の言を信じ、E教育会に

学童配給用クレオンを納付すればその見返りとしてその製造に必要な原料であるパ

ラフィン、白蟻が同教育会から交付されるものと考え、その当時加工業者が官公署

から指定生産資材の交付を受けこれに加工して納付する例が往々あつたので、これ

と同様にE教育会が同県庁内商務課等と連絡をとり、正規の手続により引渡を受け

ることができるものと信じていたものである」というのであつて、これによれば、

本件契約は、少なくとも被上告人側においては、前記規則所定の割当証明書によら

ないで統制物資の入手を目的としたものでないことは明らかである。所論は原判決

の認定に添わない事実を前提としての立論であつて、採用の限りでない。

(2) 論旨はまた、本件売買の目的物中のクレオンの約定価額は、当時の公定

価格を超えているから物価統制令に違反し、民法九〇条により本件契約の全部が無

効であると主張する。しかし原判決の認定によれば、本件契約はもともと公定価格

によりその五割引とする契約であつて、ただ当初契約を締結した昭和二二年四月一

〇日当時の右公定価格は、当事者双方とも一ダース一四四円と誤認してそのとおり

定めたのであるが、その後同年六月二日右五割引を取り消し全額を支払う旨の約定

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成立当時、前示当初契約における公定価格の誤りを発見し、この六月二日の約定で

はその当時の公定価格一ダース一一一円八〇銭の割合で支払う契約が出来たもので

あるというのであつて、本件請求は右六月二日の契約に基くものであるから、所論

は到底採用できない。

同第二点について。

第一点所論の理由がない以上、第一点の所論を前提とする論旨の理由のないこと

は明らかである。

同第三点について。

所論は原判決の事実認定を非難するに帰し、上告適法の理由とならない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官谷村唯一郎は退官につき署名押印することができない。

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

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