大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)626 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人田中治彦、同環昌一、同大森徳次郎の上告理由第一について。

上告人Aが上告会社のa駅貸物係として、Dから「秩父に、こんにやくの買付に

来ているが、こんにやくもなかなか集らないので山梨の方に帰つてもEえ顔向けが

できないから形式だけでよいから二貸車分の甲片を出してくれ」という趣旨の請託

を受けこの請託を容れ、すなわち上告人Aは本件空甲片発行当時、Dらがこんにや

く生藷の収買に従事し居り同人らは本件空甲片が発行されればこれをE農業会に対

しこんにやく生藷の発送を証明するために使うであろうことを知り、かつ、小口扱

貨物通知書には通常記入しない貨車番号までかき入れて、本件空甲片二通を発行し

たものであることは原判決の確定するところであり、そして甲片なるものは運送の

ため貸物が鉄道会社に引渡されたことを証明するに足る文書であることは原判示に

よつて明らかである。

原判決は、以上事実関係を認定の上所論(イ)乃至(ニ)の事実をこれに綜合し

て上告人Aは少くとも本件空甲片発行の際、相当の注意を払うならばE農業会があ

るいは右空甲片により二貸車量のこんにやく生藷が運送のため上告会社に引き渡さ

れたものと信じてその代金を支払うかも知れないことを予見し得べかりしものであ

つたと認めるを相当とすると判示しているのであつて、この点に関し、原判決に所

論のような理由不備等の違法ありとはみとめられない。また既に右上告人Aの空甲

片発行の事実と本件損害の発生との間に相当因果関係ありとする以上、かりにFの

詐欺行為が競合したことありとするも、因果関係の中断を来したものとはみとめ難

いとした原判示も相当である。次に本件損害の発生につきE農業会に取引上必要な

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注意を怠つた過失ありとの上告人の主張を排斥した原判決の判断も正当であつて、

所論のような違法ありとすることはできない。

さらに、損害の額についても、原判決は、前記EがFに対し同人が前記甲片によ

り発送したと称するこんにやく藷代金内払金として一〇〇万円を支払つたところ右

は空甲片であつた結果、右支払金額相当の損害を被つたと判示しているのであり、

右支払額がこんにやく藷の時価に比し不当に多額であつたということは上告人の原

審において主張、立証しないところである。この点に関する論旨も採用することは

できない。

同第二について。

所論の理由のないことは、前段説示するところにより明らかであつて、引用の大

審院判例はいずれも本件に適切でない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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