大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)805 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人の上告理由第一点について。

本件随意契約の基礎たる見積価格が所論固定資産税基準価格と差異があるからと

いつて、これに基く随意契約による売却を公序良俗に反し無効であるということは

できない。また、原審挙示の証拠によれば本件随意契約による売却処分がなされる

に先だち、本件差押物件について公売を実施したが買受申込人がなかつたという事

実を肯認することができる。そしてたとえ所論甲第三号証および五号証の記載中一

部真実に符合しない点があり、また公売見積価格が昭和二七年三月一三日に初めて

作成されたとしても単にかかる事実だけでは未だ本件随意契約による売却処分が所

論の如く公序良俗に反し無効であると解することはできない。所論は採用に由なき

ものである。

同第二点について。

原審認定の事実関係の下においては未だ本件随意契約による売却が権利乱用であ

るということはできない。所論は理由がない。

同第三点について。

原審は上告人が本件家屋につき賃借権を有するという抗弁は認むるに足る証拠が

ないとして排斥しているのであつて、上告人の居住関係が使用貸借であるというが

如き事実はなんら認定していないのであるから所論は原審の判示に即しないもので

採用する由ないものである。

同第四点について。

原審は本件随意契約による売却に先だち、公売手続の実施があつたが買受申込人

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がなかつた事実を認定しており、原審挙示の証拠によれば右認定は肯認できないわ

けではない。(なお、所論は、本件随意契約前の公売手続には、見積価格の設定が

なかつた旨主張するが、上告人は原審において、公売が全然実施されなかつたこと

を主張しただけで、右の如き公売手続の瑕疵を主張したものとは認められない。)

所論は結局原審の適法になした証拠の取捨判断、事実認定を非難するに帰し採用し

難い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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