大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)833 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由第一点について

所論準備書面の陳述の内容は、第一審判決摘示事実と同巧異曲にして、その趣旨

を異にするものでなく、原判決は右事実摘示を引用しているのであるから陳述の記

載を脱漏したものでない。そしてその陳述を記載している以上、これを弁論の全趣

旨として斟酌し、事実認定したことを看取するに足るから所論の違法はない。

同第二点について

本件では、被上告人は債務消滅原因として示談の成立と、その示談金の弁済を主

張し、上告人はその示談の成立を争つたに過ぎない。そして原判決は右示談の成立

および示談金の支払を認定し債務の消滅したことをも判示している第一審判決を引

用しているのであつて、示談によつて消滅した債務の復活の如きは上告人が抗弁と

して主張しなかつたものである。従つて債務復活に関する判示は、本来不要蛇足の

ものであつて、所論はこの不要な判示に対し違法違憲を主張するものであるから採

用することを得ない。

同第三点について

所論公正証書も民法四八七条の債権証書として弁済を受けた債権者はこれを弁済

者に返還すべきものであるのみでなく、本件においては所論公正証書が執行吏の占

有に属する事実は原審の認定していないところであるから所論は前提を失するもの

であつて何れにしても採用し難い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!