大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)875 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人田中栄蔵、田中和の上告理由第一ないし第四において主張するところ

は、その内容が多岐にわたりあるいは違憲をいう点もあるけれども、その実質は、

被上告人の本件建物収去土地明渡の請求は信義誠実の原則に反し権利の濫用である

のにこれを認容し、しかも上告人の賃借権をもつて被上告人に対抗できない旨判示

したのみで十分な理由を示すことなく右請求を認容した点で原判決は違法である、

というに帰する。

しかし、被上告人が昭和二四年五月三〇日付売買により本件土地の所有権を取得

して同日その旨の登記を経由したこと、上告人が右土地上に本件建物を所有して該

土地を占有していることならびに上告人が右建物の所有権保存登記を経由したのは

前記土地所有権の取得およびその登記の後である同年一一月一二日であることは原

審の適法に確定した事実であるから、上告人にその主張のごとき賃借権があるとし

ても、該賃借権の登記の存する事実の確定されない本件において、右賃借権の存在

をもつて被上告人に対抗し得ないことは民法六〇五条、建物保護ニ関スル法律一条

の明文に照らして疑ないところである。したがつて、特段の事情のない限り、上告

人は被上告人の本件建物収去土地明渡の請求を拒み得ないのであるが、上告人の主

張にかゝる、同人が本件建物で飲食店営業を営んでいて被上告人がそれを知りなが

ら本件土地を買い受けたとの事実については、これにそうなんらの立証もなされて

いないし、かような事実だけでは未だ本件請求が信義則違反ないし権利の濫用に当

るとはいゝ得ないのである。されば、右とその趣旨を同じうしその旨を判示して被

上告人の請求を認容すべきものとした原審の判断に所論の違法はなく、論旨は採る

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を得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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