最高裁判所第二小法廷 昭和30(オ)930 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告代理人下山四郎の上告理由第一点について。
しかし、原審は、本件約束手形はD協同会なる架空の団体を振出名義人として振
り出されたものであるから、これにつき無権代理行為の追認ということはあり得な
いと判示しているのであつて、所論の如く、本件約束手形が実在人たる被上告人名
義で振り出されたものとしながら、これにつき無権代理行為の追認の余地がない旨
を判示しているわけでないことは、判文上明白である。従つて、所論は原判旨に添
わない議論であつて、採用し得ない。
同第二点について。
原審認定の本件事実関係の下において、被上告人が、本件約束手形が偽造に係る
ものであることを知りながら、訴外E銀行F支店の照会に対し、積極的に、その旨
を表明せず、敢えてこれを放任したからといつて、本件約束手形上の責任を負うべ
き法律上乃至信義則上の根拠も認め難い。従つて右と同趣旨に出た原判決は正当で
ある。所論は、結局、独自の見解に過ぎず、採用し得ない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
裁判官 河 村 大 助
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裁判官 奥 野 健 一
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