大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和31(あ)3880 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人片寄秀の上告趣意第一点は、原審が検察官からの第一審判決の量刑は不当

であるとの控訴趣意に基き自ら事実の取調をしないで、罰金刑の言渡をなした第一

審判決を破棄して、懲役刑(実刑)の言渡をしたのは違法であると前提して違憲を

いうけれども、右原審の措置が違法でないことは当裁判所判例(昭和二七年(あ)

第四二二三号、同三一年七月一八日大法廷判決参照)に照し明白であるから、右違

憲の主張はその前提を欠くものであり、同第二点は量刑不当の主張であつて、いず

れも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用す

べきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により主文のとおり決定する。

この決定は右弁護人の上告趣意第一点について裁判官小谷勝重、同河村大助の後

記少数意見があるほか裁判官の一致した意見である。

裁判官小谷勝重、同河村大助の少数意見は次のとおりである。

原判決は第一審が本件被告人に対し罰金三万円(三百円を一日に換算)に処した

判決を破棄自判し、懲役三月の実刑を言渡したのであるが、記録によれば、その手

続は書面上の調査のみによつたのであつて、事実の取調を行つた形跡は認められな

い、このように第一審の罰金刑を第二審において破棄自判によつて、懲役刑の実刑

に改めるには自ら事実の取調を行うことを要し、さもなければ第一審に差し戻すべ

きものである、この点において原判決は違法たるを免れないから破棄すべきもので

ある。

昭和三二年四月一九日

最高裁判所第二小法廷

- 1 -

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!