大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和31(し)34 決定

主 文

本件特別抗告を棄却する

理 由

本件特別抗告の趣意は末尾添附の書面記載のとおりである。

所論は原決定の憲法三七条一項違反を主張するけれども、その内容は、要するに

被告人A、同Bに対する傷害致死等各被告事件を担当している第一審裁判所(合議

体)は、同被告人等に対する主たる訴因に予備的訴因の追加を命じたのであるが、

裁判所が予備的訴因の追加を命ずるに当つては先づ主たる訴因につき、被告人等乃

至相被告人等に質問して十分にその弁明を聴き、且つ互に証人として尋問をなし、

既に取調べられた証拠とも綜合判断した上で追加を命ずべきか否かを決定すべきで

あるのに、かかる措置を経ないで追加命令をなし、その追加された訴因について職

権で証拠調をなした。これは偏見にとらわれたものであつて不公平な裁判をする虞

があり裁判官忌避の理由となる。しかるに第一審裁判所がなした裁判官忌避申立却

下決定を認容した原決定は、前記憲法の条規に違反するというにある。結局所論違

憲の主張は第一審裁判所の訴訟指揮の法令違反を前提とするものである。しかしな

がら記録によれば第一審裁判所が所論予備的訴因の追加を命じたのは主たる訴因等

につき公判の審理を重ねること十数回に及び証拠調も一応終了した後であること明

白であるから第一審裁判所が所論のような措置に出たからといつて何等違法の点は

なく不公平な裁判をする虞があるとは認められない。この点に関する原決定の判断

は正当である。故に所論違憲の主張はその前提を欠き特別抗告適法の理由とならな

い。

よつて刑訴四三四条、四二六条一項に従い裁判官全員一致の意見で主文のとおり

決定する。

昭和三一年一〇月一二日

- 1 -

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

裁判官 池 田 克

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!