大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)1030 判決

昭和三一年(オ)第一〇三〇号

判 決

福島県安達郡本宮町字鍛治免一九番地の一

上 告 人 坂 詰 政 雄

右訴訟代理人弁護士 勅使河原 直 三 郎

同県同郡和気沢村大字高木字駒込二八番地

右 補 助 参 加 人 根 本 忠 治

同県同郡本宮町字上町三一番地

被 上 告 人 増 子 宗

右当事者間の動産引渡請求事件について、仙台高等裁判所が昭和三一年九月三日

言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告申立があつた。よつ

て当裁判所は次のとおり判決する。

判 決

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人勅使河原直三郎の上告理由第一点について。

Dが昭和二六年三月二〇日本件物件を被上告人に対し担保に供した際、被上告人

は占有の改定によつて右物件の占有を取得したものであることは、さきに本件につ

いて、前上告審判決が判示したところであつて、原判決は右判示に従つたものであ

ることは明瞭である。論旨は理由がない。

同第二点について。

本件譲渡担保契約当時、本件物件は債務者Dの所有に属しなかつたことは所論の

とおりであるけれども、根本は右物件をE製作所から買入れ当時これを占有してい

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たのみならず、売主に買受代金残額を支払えば容易にその所有権を取得し得る事情

にあり、右担保契約も、Dにおいて代金を支払いその所有権を取得した上で、債権

者たる被上告人に所有権を移転すべき約旨であつたことは、原判決の認定するとこ

ろから十分に看取することができるのであつて、当時右物件の所有権がDになかつ

たの故をもつて、右担保契約を無効であるとする所論は採るを得ず、原判決はDは

被上告人に対する被担保債務の不履行の後に、売主に残代金の支払を完了して担保

物件の所有権を取得した事実を認定し、よつて右担保契約の趣旨に従つて被上告人

が本件物件の所有権を取得したものであるとしたのであつて、原判決に所論のよう

な違法ありとすることはできない。(被上告人が右物件の占有を取得した関係につ

いては前点説示のとおりである。)

同第三点ないし第五点について。

所論は、結局原審がした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに過ぎず、(原

審の認定に所論のような社会通念に反するものありとすることはできない。また民

法九〇条違反に関する事実は上告人の原審において主張しなかつたところである。)

いずれも採用することはできない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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