大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)126 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由第一点について。

原判決は、被上告人らの先代においては終戦前より精密諸器械工具の製造販売を

業とし、終戦後昭和二一年一一月頃から度量衡器の製造販売をも営むため、その製

造工場、倉庫並びに自動車車庫を本件地上に新築すべき計画を樹て、本件賃借申出

の拒絶をした当時には、原判示の如き準備を進めていた事実を認定しているのであ

り、右認定によれば、本件賃借申出の拒絶がなされた当時、所有者たる被上告人ら

の先代に右土地を使用する必要が存在していたことは明白である。一方、原審は、

上告人においては、戦前から東京都中央区a町に居住し、昭和一九年被上告人ら先

代より本件土地を賃借しその地上に建築した本件疎開建物を訴外人らに賃貸して居

たが、前記a町の居宅は戦災を免れたため、上告人としては、これに従前どおり居

住し、本件土地には、戦前と同様建物を建築してこれを他に賃貸する目的であると

いう事実を認定しているのである。

以上の事実、その他原審の認定した双方の側に存する事情を比較考察すれば、原

審が、被上告人らの先代において、上告人の賃借申出を拒絶したのは正当の事由が

あり、かつ権利らん用とはいえない旨判示したのは、相当として首肯するに足りる。

それ故、原判決には所論の如き違法はなく、論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決は、要するに、原審認定の如き被上告人ら先代と上告人との双方の側に存

する事情を比較考察の上、本件賃借申出に対する被上告人ら先代の拒絶については

正当の事由があると判断しているのである。而して原判決が、「被上告人ら先代が

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昭和二四年五月一七日死亡した後は、実弟Dにおいて営業を継続云々」と判示して

いるのは、なんら所論の如く本件土地を使用する必要があるのは右Dであるという

趣旨の判示ではなく、結局、原判決は、本件土地については、被上告人ら先代が、

原判示の如き営業のために使用する必要があつた事実を推認させる一資料(間接事

実)として、右の判示をしている趣旨であることが原判文の全趣旨に照らし明白で

ある。所論は、結局、原審が本件土地は右Dにおいて使用する必要があると認定し

ている旨の、原判示に副わない事実を前提とするもので、採用に由なきものである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 介

裁判官 奥 野 健 一

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