大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)255 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人杉原喜与人、同上田末吉の上告理由第一点について。

被上告人が原審において、上告人主張の必要費および有益費の支出を認めたこと

は所論のとおりであるけれども、その趣旨が、上告人主張の畳、建具、硝子戸、襖

および板戸に関する費用が必要費であることを認めたものではなく、単にその費用

の支出金額を認めたものにすぎないものと解すべきことは、その陳述に徴し明白で

ある。のみならず、畳、建具、硝子戸、襖および板戸に関し支出する費用が必要費

かどうかは法律的判断事項であつて事実ではないからこの点に関する判断は裁判所

の専権に属し当事者の自白に拘束されるものではない。そして右の諸物件が家屋の

造作であつてその代金が家屋自体に付いての必要費に属しないことは原判決の判示

するとおりであるから、この点に関する原判示は正当であつて所論の違法は存しな

い。

同第二点について。

賃借人が賃貸人の同意をえて家屋に附加した造作は賃借人の所有に属し、したが

つてその附加のため支出した費用が建物自体に対する必要費または有益費を構成し

ないことはいうを待たないところである。また造作の買取請求権を行使した建物賃

借人が、その代金の不払を理由として建物を留置しまたは右代金の提供がないこと

を理由として同時履行の抗弁により右建物の明渡を拒みえないことは、当裁判所の

判例とするところであるから(昭和二九年七月二二日判決、民集八巻一四二五頁)

原判決が所論の証拠調をなさずして上告人の留置権または同時履行の主張を排斥し

たのは当然であつて、原判決に所論の違法はない。

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同第三点について。

所論の事実は原審において主張しないところであり上告適法の理由とならない。

同第四点について。

所論は原審の適法に確定した事実に副わない事実を基調とするものであつて採る

をえない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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