大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)293 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人野村均一、森田和彦の上告理由第一点について。

被上告人は本件において、破産法所定の否認権を行使するものではなく、本件不

動産の登記名義を破産会社に移転する旨の契約に基きその履行を求めているのであ

るから、その結果がたまたま否認権を行使したと同一に帰することがあつても、そ

れは右契約の効果にすぎないのであつて、否認権の行使とはなんら関係がないので

ある。されば、所論は、違憲に名を藉りて独自の見解を主張するに帰し、採用でき

ない。

同第二点について。

所論の錯誤が縁由の錯誤にすぎないことは明らかであり、上告人においてかゝる

縁由に属する事実を意思表示の内容として表示したことは、原審の認定しないとこ

ろであるから、所論は採用できない。(所論判例はいずれも本件に適切でない。)

同第三点について。

上告人の主張するところは、本件不動産の所有権が破産会社に帰属していること

を承認するのが真意ではなく、自己の所有物を譲渡するのが真意であつたというの

であるから、たとい所有権の帰属を承認した点に意思と表示の不一致があつたとし

ても、上告人はかゝる不一致を自ら知つていたことを主張するに帰着し、錯誤の主

張に当らないというべきである。されば、原審が錯誤の抗弁を排斥したのは結局正

当であり、所論は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

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最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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