大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)704 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人河原太郎の上告理由一点について。

しかし、上告人の主張は、一審以来、「昭和二八年三月工事着手の直前頃、被上

告人は新材料をもつて建築するよう上告人に申し入れて来たので、上告人はこれを

承諾した。すなわち、本件当初の契約は、右被上告人の申入によつて解約され、そ

の効力を失つたものである」というに在り、原判決は、「上告人主張の合意解除の

主張については、これを認めるに足る証拠はない」旨判示し、結局前示上告人の主

張を証拠上排斥しているのであつて、なんら所論のごとく、「当初の契約が存続す

ること」をもつて当事者間に争のない事実としているわけでないことは、原判文上

明らかである。所論は、原判決を理解せずして、これに所論のごとき違法があると

なすものであつて、採用するに足らない。

同二点について。

しかし、所論原判示は、所論のごとく旧契約を失効せしめるような基本的部分の

変更を認めているわけではなく、そして、所論のごとく請負代金が変更されたから

といつて、必らずしも旧契約の全部が当然失効するとは解し難いから、原判決には、

所論のごとき違法はない。所論は採用するを得ない。

同三、四点について。

しかし、原判決の趣旨は、要するに、所論二万円は、本件請負代金の一部として

入金せられたというにとどまり、その増額請負代金の増額部分に入金せられたとす

るものでないことは、原判文上明らかであり、そして、所論二万円の入金が本件契

約書の「入金」に該る旨の原審の認定判断は、その挙示する証拠に徴し、必らずし

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も首肯し得ないわけのものでもないから、原判決には所論のごとき違法があるとも

いい得ない。所論はいずれも採用し難い。

同五点について、

所論信義則を云々する点は、原審において、何ら主張判断のなかつたところであ

るのみならず、原審認定の事実関係のもとにおいては、未だ上告人の本件工事中止

をもつて、信義則上許さるべきものともいい難い。所論もまた採用するを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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