大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)82 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人牟田真の上告理由及び上告代理人大曲実形の上告理由第一、二点につ

いて。

記録によると、被上告人等は第一審以来、被上告人Bが父Dに対して孝養を尽し

亦債権を有して居た事情から、Dがその孝養を謝し之に報いると共に自己所有財産

の維持と自己の将来の生計を托する趣意で係争不動産の所有権を同被上告人に移転

したものであつて単純な贈与を為す趣旨ではなかつた旨を主張していたことが看取

できるから、原審が右所有権移転に関する約旨について所論の通り認定判断しても、

当事者の主張しない事実を認定し申立てない事項について裁判した違法はなく、更

に所論事実は原判決挙示の証拠と原判決の引用する第一審判決挙示の証拠とを綜合

すればこれを認めることができるから、原判決に証拠によらないで事実を認定した

違法もない。論旨は理由がない。

上告代理人大曲実形の上告理由第三、五点について。

原審はDがその法定の推定家督相続人である上告人を差しおいて係争の不動産所

有権を被上告人Bに移転するに至つた事情を認定して居るのであり、右特段の事情

のもとにおいてはその認定事実の相当であることを肯認するに足るのであつて、此

の点につき経験則違背その他所論の違法は存しない。

以上の点以外の論旨は結局原審の事実認定、証拠の取捨判断を単に否定し、或は

原判示に副わない事実に基いて法令違背を主張するに帰着し、いずれも採用し得な

い。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

- 1 -

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!