最高裁判所第二小法廷 昭和31(オ)907 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人の上告理由は別紙のとおりである。
論旨は、本件建物の移転命令及び移転命令に基く代執行に関する処分は、本件建
物の所有者でない訴外Dに対してなされたものであるから無効である旨を主張する
に帰する。
原判決の認定するところによれば、本件建物の所有者は上告人であるから、右D
に対する移転命令はもとより違法である。しかし、さらに原判決の認定するところ
によれば、本件建物の所在する土地の賃借人は右Dであり、上告人はDの実子であ
つて当時同居していたのというのである。かかる場合においては、右の違法につい
ては移転命令の取消を求める訴を適法に提起して争うは格別、移転命令が法律上当
然無効であるとはいえない。さらに右移転命令が無効でない以上、代執行に関する
処分を無効とすべき理由はなく論旨は理由がない。
論旨はさらに、本訴は原状回復請求、損害賠償請求の前提として提起されたもの
である旨を主張するのであるが、本件各処分が無効でないことは前述のとおりであ
るのみならず、所論の請求訴訟を提起するについては、本件各処分の無効を本訴で
確定する必要はない。論旨はまた、本件行政処分及び原判決の違憲を主張するので
あるが、実質上は法令違背を主張するに帰し違憲に名を藉りるに過ぎない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
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裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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