大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)159 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差戻す。

理 由

上告代理人森吉義旭の上告理由第三点(c)(d)(e)(f)(g)について。

原審の認定の事実によれば上告会社は昭和二八年三月四日D興業株式会社こと訴

外Eから本件物件新品の買注文を受けて承諾し、翌五日代金の支払と引換に物を引

渡し所有権を移転することを約し、昭和二八年三月五日午前中上告会社では、本件

物件を取揃えEに対する引渡の準備をしたが、そのとき上告会社店先に来た同人が

代金を持参せず物件の納入先で代金を受領した上で支払うといい出したので、これ

に応じ、買主側差し廻しのトラックに右物件を積み込み、上告会社の店員をこれに

同乗させ、上告会社を代理する同会社取締役FがEと共に乗用車で右トラックに附

き添い、同人が納入先と称する江東区a町の訴外G方附近まで同行して、その附近

でEが代金を持参するのを待つていたが、同人は遂に代金を持参せず、姿を晦して

戻らなかつたこと、一方当日EからH及び被上告人に対しては上告会社店先で物の

引渡をする旨を説明してあつたので、上告会社に廻したトラックにはH及び被上告

人も乗込み本件物件は被上告人が保管場所に予定してあつたG方迄運搬され、H、

被上告人両名で右物件を荷卸し、G方店内に搬入し、右物件を秤量した上、Hより

被上告人に引渡されたというのであるが、右原審の確定した事実によつても上告会

社が既に本件物件の占有権を失い、Hが該物件の占有権を取得したものと断定する

ことは困難であり、若しHが本件物件について占有を取得したとなしえないとすれ

ば本件について民法一九二条を適用することができないわけである。従つて原審が

右一九二条を適用するためには更に審理を尽し、本件物件の占有権が上告会社を離

れ、被上告人の前主Hが占有権を取得した事実を確定する必要がある。原判決は民

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法一九二条の解釈適用を誤つたか、ないしは審理不尽の違法ありというべきである

から、その余の論点について判断するまでもなく破棄を免れず、なお右の点につい

て審理の必要ありと認め、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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