大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)34 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人白石信明の上告理由第一点について。

受益者である上告人が本件否認の対象とされた行為が破産債権者を害するもので

あることを知つていたことを、否認権を行使する被上告人において立証することを

要するものではなく、受益者である上告人において破産債権者を害すべき事実を知

らなかつたことにつき立証責任を負うものであつて、原判決は上告人において右事

実を知らなかつたことを認めるに足る証拠がないと判示したものであり、その判示

は首肯することができるから、原判決に所論の違法はない。

同第二点について。

原判決は、抵当権者であり競落人である上告人に対して本件抵当権設定行為が否

認権行使の要件を備えているものと認めた上、該抵当権実行の結果である上告人の

所有権の競落取得を破産財団に対する関係において無効と判断し、競落不動産の返

還のため競落による所有権登記の抹消を命じたのであるから、原判決のこの点に関

する判断は結局正当であり、所論は採用することができない。

同第三点について。

本件の訴は、強制執行の執行行為を否認するものではなく、抵当権者であり競落

人である上告人に対して抵当権設定行為が否認の要件を備えていることに基くもの

であるから、原判決がその要件を肯定して抵当権実行の結果である上告人の所有権

の競落取得を無効と判断しても、所論のような違法はない。

同第四点について。

本件は、債務の弁済行為を否認するものではなく、抵当権設定行為の否認を前提

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とするものであるから、その要件を認めて否認権の行使を是認した原判決は正当で

あつて、所論のように否認権の対象とならない行為をその対象とした違法はない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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