大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)410 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人の上告理由一について。

所論の如き事実があつたとしても、必ずしも被上告人B1電設株式会社が被上告

人B2を指揮監督する関係にあつたものと認めなければならないものではなく、殊

に原判示によれば本件手形は上告人と被上告会社間の手形取引約定に基く正規の取

引により振出されたものではなく、右取引とは全然関係なく、被上告人B2と上告

金庫D支店長Fとの共謀によるB2個人に対する不正融資により生じた上告人の欠

損帳尻を埋め合すため、被上告会社が被上告人B2に名義を貸している関係にあつ

たのを奇貸として、被上告人B2をして被上告会社F営業所長の肩書を用いて振り

出さしたもので、しかも甲二号証の二の手形に至つては、B2自身融資を受けてい

ないのに、口実を設けて振り出させられたこと、また被上告人B2は被上告会社の

ため振り出す意思なく、上告人自身も正規の手形取引により生じたものでないこと

を十分知悉のうえのことであつたというのであるから、民法七一五条の「事業の執

行」につき損害を加えたものとは到底いえないこと明らかであるから、被上告会社

に同条の責任なしとした原判決の判断は正当であつて、所論は採るを得ない。

同二について。

所論は結局事実認定非難に帰し上告適法の理由に当らない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

- 1 -

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!