大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)461 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人日野寛同日野魁の上告理由一点について。

論旨は本件選挙は憲法一五条四項に違反し無効であると主張するが、上告人の主

張事実によるも、本件選挙の投票の秘密が侵されたこともなくまた、選挙人がその

選択について責任を問われたこともないのであつて、結局違憲の主張は主張自体理

由がなく、単に違憲に名を藉り実質は公職選挙法の解釈適用の問題を主張するに帰

する。

しかして論旨は本件選挙に際し各部落で候補者を推薦し部落の組織を利用して選

挙運動を推進するときは部落の住民は自己の自由意思に従つて投票することが極め

て困難となること明白であるから、本件選挙はその自由公正が著しく害されたもの

として無効であると主張するが、原審は、本件選挙において部落候補者が多数当選

したのは部落の有権者がその地区の有力者から部落候補者に投票することを強要さ

れたためその自由な意思に反してこれに応じたことによるものであるとの上告人の

主張事実は、これを認むるに足る措信しうる証拠はないと認定判示しているのであ

るから所論は原判決の判断に副わない事実を主張して原判決を非難するに過ぎない

ものである、のみならず、部落で候補者を推薦することが常に必ずしも違法とはい

えず、又その運動に違法の点があつたとしても、選挙運動の違法については、法律

は、その者の処罰によつてこれを防圧し、もつて選挙の自由公正を確保しようとし

ているのであつて、かゝる違法は法二〇五条によつて選挙を無効とすべき原因とは

ならないものと解すべきである、従つて所論は採るを得ない。

同二点について。

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所論は原審が適法になした証拠の取捨、事実認定を非難するにとどまり上告適法

の理由とならない。

同三点について。

所論は原判決には理由を附さない違法があると主張するが、論旨指摘の事実につ

いては、原判決は「各地区毎にその地区内の有志者が農業組合、青壮年協議会その

他の各種団体の幹部と諮り、その地区の市政運営上の利益を擁護する目的を以て地

域(部落)別にその地域を地盤とする候補者(部落推薦候補者または部落候補者総

数三十名)を定めた上この方法によらないで立候補した者(有志推薦候補者または

自由候補者総数十二名)と対抗し、当選を期して選挙運動を展開し」たことは認め

られるが有権者が部落候補者に投票することを強要された事実は認められない旨認

定判示したことは一点に説明したとおりであるから原判決には所論の如き理由不備

の違法はない、又所論の事実が選挙無効の原因とならないことは一点に述べたとお

りである。

同四点について。

論旨は本件選挙における投票所の設備は、公職選挙法施行令三二条に違反すると

主張するが、もとより、他人から投票を覗き見られないためには、隠蔽に苦心する

ような設備では違法といえるが、原判決の認定によれば「選挙人において簡単な注

意を用いて隠蔽手段を採れば投票の記載を他人から覗き見られることを防ぐことが

できた」というのであるから、本件投票所の設備は右令三二条には反しないものと

いうべきである。従つて所論は採用できない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

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裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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