最高裁判所第二小法廷 昭和32(オ)602 判決
主 文
原判決中上告人勝訴の部分を除くその余の部分を破棄し、右部分につき
本件を広島高等裁判所岡山支部に差し戻す。
理 由
上告代理人裾分正重、同笠原房夫の上告理由について。
原判決は「本件取引は株式の現物売買なので、当事者はいずれも現物と代金とは
引換に受渡することを取引の内容としていたことが明らかであるから、売主の請求
にかかわらず買主において代金の支払をしないときは売主は直ちにその売買契約を
解除し得るものと解するのを相当とすべく、したがつて控訴人Dが控訴会社に対し、
また同会社が被控訴人に対してした前記契約解除の意思表示はいずれも有効なもの
といわねばならぬ」と判示する。しかし、本件株式の売買において現物と代金とは
引換に受渡をすることを取引の内容としていたからといつて、何故相当の期間を定
めて履行の催告をすることを要せず直ちに契約を解除することができるのであるか
何ら首肯するに足る説明を加えていない。かりに、原判決の趣旨が本件株式の取引
を民法五四二条の定期行為に該当するものと認定したものとしても、単に現物と代
金とが引換給付の約であつたというだけで、特別の事情のない限り履行期に履行を
為すに非ざれば契約を為した目的を達することができない取引であるとは断じ難く、
他に契約の性質又は当事者の合意等により、定期行為と認められる所以を判示して
いない原判決は理由不備ないし審理不尽の違法ありといわねばならない。よつて本
件上告は理由あるものと認め民訴四〇七条により全裁判官一致の意見により主文の
如く判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 池 田 克
- 1 -
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
- 2 -