大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和32(ヤ)18 判決

主 文

本件再審の訴を却下する。

訴訟費用は再審原告の負担とする。

理 由

再審原告代理人弁護士岡井藤志郎主張の再審事由は別紙(一)及び(二)記載の

とおりである。

しかし、上告裁判所は、いわゆる法律審として原判決が適法に確定した事実に拘

束されるから(民訴四〇三条)、原審のした事実認定に関しては、それが法に定め

られた手続に従つてなされたかどうか、審理不尽の点がないかどうか、論理法則・

経験則に反するところはないかどうか、等を審理判断できるだけであつて、自ら事

実の認定をなし得べき立場にないことはいうまでもない。そして、本件再審の目的

たる上告判決が、上告理由第一点につき「原判決は原判決挙示の証拠にもとづいて

本件家屋は訴外亡D死亡当時その所有に属したものであると認定したものであつて、

右証拠によれば斯様な認定が可能である」と判示しているのも、結局原判決挙示の

証拠により原判示事実を認定しても右第一点所論の諸法則違反、審理不尽等の違法

はないという趣旨にほかならず、ただ、法律審たる上告審自ら事実認定をしたかの

ような表現を避けるため「可能である」という文言を用いたにすぎないと解すべき

である。されば、本件上告判決が右判示のほか、所論貸借の有無につき所論の如き

判示をしなくても、再審事由たるべき判断遺脱があるとはいい得ない。

次に、訴訟法違反は必ずしも常に無法違反となるものではないから、たとえ上告

論旨が憲法違反なる語を用いても、実質的に単純な訴訟法違反の主張をいでないも

のと認められる場合には、右訴訟法違反の有無を判断すれば足りる。そして、所論

上告理由第二点はまさに右の場合に該当するから、本件上告判決がこれに対し訴訟

法違反の主張の理由なきことを判示するに止めたのは相当であつて、再審事由たる

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べき判断遺脱があるとはいい得ない。

また、再審原告所論の本人尋問申請に関する論旨が本件上告理由に含まれている

としても、本件上告判決はこれに対し原審が適法になした証拠の取捨を非難するに

帰着すると判断を示しているのであつて、判断の遺脱は存しない。

よつて、本件再審の訴を却下すべきものとし、訴訟費用につき民訴九五条、八九

条を適用し、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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