大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(あ)1226 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人木戸悌次郎の上告趣意について。

所論は量刑不当の主張であつて適法な上告理由に当らない。

弁護人榊純義の上告趣意一について。

所論は原審において何等主張、判断を経ていない事項であるのみならず、記録に

よれば、被告人は昭和三二年七月一三日現行犯人として被害者に逮捕され直ちに警

察署に引致され(一九丁)、同月一五日八王子簡易裁判所裁判官の発した勾留状に

より即日、日野警察署留置場に勾留された(七八丁)のであるが、被告人の氏名を

A又はBと偽り、その住所もそれぞれ偽つていたため、日野警察署取調官において

所轄警察署にそれぞれ照会したけれども該当者を発見し得ず、警察庁鑑識課指紋係

に照会した結果、被告人の本籍、住居及び氏名並びに前科等が判明するに至つたこ

と(二一丁)、右のような事情並びに逃走した共犯者がある嫌疑もあるため勾留期

間が同年八月三日まで延長され(七八丁)、同日起訴されたものであること(一丁)、

同月一九日司法警察員に対して自白をしたこと(五九丁、六三丁)同年九月二日の

第一審第一回公判期日には私選弁護人か病気により出頭しなかつた(八丁、九丁)

ため、次回期日は追つて指定となり、同月三〇日第二回公判期日が開かれ、同期日

において被告人は「事実は認めます」と述べたものてあること明らかである。され

ば被告人の第一審第二回公判期日における右自白は、逮捕後約八〇日を経過した後

に行われたものであること所論のとおりであるけれども、被告人の前記司法警察員

に対する自白は、拘禁後一ケ月余を経てなされたものであり、本件事案の内容、取

調の経過その他諸般の事情に照し、右一ケ月余の拘禁をもつて不当に長い拘禁であ

るとはいえないこと当裁判所判例(昭和二二年(れ)第三〇号、同二三年二月六日

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大法廷判決、集二巻二号一七頁)の趣旨に徴して明らかであり、そして右公判にお

ける自白は右司法警察員に対する自白の反覆であり、かつ公判期日が前記のような

事情で延期されたこと等にかんがみれば、右公判における自白をもつて不当に長い

拘禁後の自白であるということはできない(昭和二二年(れ)第二七一号、同二三

年六月三〇日大法廷判決、集二巻七号七一五頁)。されば被告人の公判における自

白を不当に長い拘禁後の自白であると前提して憲、法三八条二項違反をいう所論は

前提を欠くものである。所論は採るを得ない。 同二(一)について。

所論は単なる訴訟法違反の主張を出でないものであつて適法な上告理由に当らな

い。

同二(二)について。

所論は量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。また記録を調べて

も刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。よつて同四〇八条により裁判

官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三六年三月一七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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