大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(あ)434 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人権逸、同池谷四郎の上告趣意第一点は、単なる法令違反、訴訟法違反の主

張であり、同第二点は、事実誤認の主張を出でないものであつて、刑訴四〇五条の

上告理由に当らない。

なお、所論絹及人絹交織シホン・ベルベツチンは輸出貿易管理令(以下単に令と

いう。)別表第一、八号への絹織物に属するものであるが、右へは昭和三一年一一

月一四日政令三四一号によりさく蚕絹織物と改められ、また、令別表第一、八号ロ

のマニラ麻製又はサイザル麻製の糸、ひも類及び綱は昭和三二年七月一九日政令一

九九号により削除されたことは、所論のとおりである。従つて被告人の本件所為に

令一条一項一号のみを適用した第一審判決を是認した原判決が、令別表第一に掲げ

られてあるマニラ、ロープ六五巻(六巻と表示しているのは誤記と認める。)なら

びに絹及び人絹交織シホン・ベルベツチン一、二五〇ヤードを云々と判示したのは、

被告人の本件所為は昭和三二年一月二一日頃に行われたものであり、原判決の宣告

期日は昭和三三年二月四日であるから、原判決は違法たることを免れない。

しかし、第一審判決挙示の輸出承認申請書謄本二通並びに第一審公判において、

適法な証拠調の施行された輸入承認申請書謄本及び求償貿易許可申請書謄本各一通

によると、本件絹及人絹交織シホン・ベルベツチン一、二五〇ヤードは、令一条一

項二号(外国為替及び外国貿易管理法[以下単に法という。〕四八条一項にいう「

特定の取引」にもとづくもので、本件ではいわゆる求償貿易契約)及び令一条一項

三号(法四八条一項にいう「支払方法」にもとづくもので、いわゆる標準外決済方

法)の各規定により、マニラ・ロープ六五巻は令一条一項一号(法四八条一項にい

う「特定の種類の貨物」にもとづくもので、令別表第一に掲げる貨物)、令一条一

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項二号(同上)及び令一条一項三号(同上)の各規定により、いずれも仕向地を南

鮮、申請者を大阪市a区b町c番地A株式会社として昭和三二年一月一八日をもつ

て通商産業大臣代理による輸出の承認がなされていることを認めることができる。

してみると、被告人は右絹及人絹交織シホン・ベルベツチンにつき令一条一項二

号(前記の求償貿易契約)及び令一条一項三号(前記の標準外決済方法)の各規定

並にマニラ、ロープにつき令一条一項一号(前記の令別表第一に掲げる貨物)、令

一条一項(前記の求償貿易契約)及び令一条一項(前記の標準外決済方法)の各規

定により通商産業大臣の書面による承認を受けないで、右各貨物を北鮮に輸出した

ことに帰するものであつて、令一条一項のいずれか一号の規定に違反する所為をな

した者は、法七〇条二二号、四八条による処罰を免れないものであるから、原判決

に前示のような瑕疵があつても、これをもつて原判決を破棄しなければ著しく正義

に反するとは認められない。

よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のと

おり決定する。

昭和三三年九月一二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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