大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(あ)7 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人那須六平の上告趣意第一点について。

論旨はやや明瞭を欠くが、その言わんとする要旨は、補助金交付申請書には、被

災地としてa地区、b地区及びc地区の三地区に区別せず一括して記載したもので

あり、又補助金も一括して交付されたのであるから、b地区及びc地区が仮令災害

を受けなかつたとしても、a地区は現に災害を受けたものである以上、虚偽公文書

を作成したことにならない。故に本件を虚偽公文書作成、同行使、詐欺罪になると

する原判決は法令の解釈を誤つたものであるというにあるものの如くである。した

がつて所論は単なる法令違反の主張であつて刑訴四〇五条に当らないのである。そ

して論旨それ自体によつても、右は正に災害なき地区を災害があつたものとして過

大に記載したいわゆる水増しのものであつて内容虚偽であることは明らかであるか

ら、所論はその実質によつて判断しても到底理由なきことは明らかである。

同第二点について。

論旨は要するに、被告人は助役であつて村長ではないし、村長の職務を代行した

ものでもない、そして本件補助金交付申請書の作成名義人は村長である、従つて村

長でない被告人には右申請書作成、行使及び補助金を受ける職務権限がないわけで

ある。故に原判決は、何故被告人に職務権限ありとするか並びに虚偽公文書作成、

同行使、詐欺罪の成立を認めるか、理由不備の違法があるというにあつて、単なる

法令違反の主張であり、刑訴四〇五条の上告理由に当らないが、所論の点を実質上

から判断するに、被告人は助役であつて村長でないこと、村長のみが本件申請書の

作成権限があること所論のとおりであり、即ち本件申請書の作成に関する限り身分

によつて成立する犯罪であることは所論のとおりである(右申請書の行使及び詐欺

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の点は異る、これらは身分なきものでも、犯し得るであらうから、論旨がこれらの

犯罪も身分犯であるかのように主張するのはもとより誤りである)。しかし第一、

二審判決は、被告人は村長と共謀して本件犯行をなしたものと認定しているのであ

るから、論旨の理由のないことは刑法六五条の規定に照して明白である。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和三三年七月七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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