大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和33(オ)571 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人岡部庄次の上告理由第一点、第二点(イ)(ロ)について。

原審は、所論表見代理を認定するについて、いわゆる基本代理権として、上告会

社石川出張所長Dが、上告会社の委任を受けてその代理人となり、昭和二九年一二

月六日石川県との間に二級国道a線中河北郡b地内c地内道路改良工事を契約金四、

五五三、九六〇円竣工期日昭和三一年一月三日として請負契約を締結した事実を挙

げ、右契約に関する代理権が、本件債務引受がなされた昭和三〇年四月二四日当時

消滅していたことはなんら認定していないことは、原判文に徴して明らかであり、

そのことは原判決挙示の証拠から肯認しうる(上告人は、原審において、甲一八号

証ないし二〇号証の契約に基づく工事請負金を石川県より受領する代理権も、甲一

九号証および二〇号証に基づくものは、甲一号証作成の当時においては未だ発生し

ていないものであると陳述しているのは、その反面において、甲一八号証に基づく

ものが当時既に発生存続していたことは争つていないものと解せられる。)したが

つて、原判決中所論指摘の右債務引受当時従前の代理権が消滅していたものとして

の説示は、あらずもがなの議論を付加したものにすぎないと解すべきである。され

ば、右基本代理権の消滅したことを前提とする論旨はいずれも理由がなく、また指

摘の判例もすべて本件に適切でない。

同第二点(ハ)について。

被上告会社の代理人がDに本件債務引受についての権限があると信ずるにつき正

当の理由があるものとした原審の判断は、原判決が確定した事実関係ならびにその

挙示する証拠関係から肯認できるから、この点につき被上告会社に過失があるとの

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所論は採用しえないし、また論旨指摘の判例も本件に適切でない。

同第二点(ニ)について。

民法一一○条にいう権限ありと信ずべき正当の理由は、必ずしも常に本人の作為

または不作為に基づくものであることを要しないことは当裁判所の判例とするとこ

ろであつて(所論指摘の最高裁判所判例参照)、いまこれを変更する要がない。論

旨は採用しえない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

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